住宅型有料老人ホーム難病マンション「つばさハウス」 【設立の趣意】


患者さんが「主体的に」生きられる場所を

私が国府台病院の勤務医をしていた当時、呼吸器をつけた、あるいはほとんどそれに近い状態の患者さんを、ご家族を休ませることを目的(レスパイト)として、3ヶ月に1回2週間、お預かりしていました。その当時、多くの病院にはそういう機能・病床数が不足していたので、もっと専門病棟を増やすべきと考えていました。現在は、多くの都道府県でも私の行なっていた短期入院事業進められています。

しかしながら「病院」という場では、どうしても患者さん本人も他人任せな気持ちになってしまい、ご家族も患者さんを病院に任せっぱなしになりがちです。また、仮に患者さん本人に希望や要望があったとしても、病院には病院の運営方針・規則があるため、患者さんはそれに従わなければなりません。例えば患者さんが、たまに夜更かししたいと願っても、多くの病院の消灯は21時と定められています。

そのような生活ではなく、患者さんが少しでも自分が思うように生きるために、病院でもなく施設でもなく「主体的に生きられる場所・住める場所を提供したい」と願い、難病患者専用の共同住宅を作りたいと考えるに至りました。その願いが、この難病マンション「つばさハウス」の設立の礎となっています。あくまで患者さんが主体となってケアの選択ができ、制度の限度はあるものの、受けたいサービスを受けることができ、夜遅くまで起きていてもお酒を飲んでもいい。身体は動かなくなっても、患者さんが主体的に生きていける場所、ご家族も介護しっぱなしで疲れ切ってしまうという現状から開放される、そういう場所を作ろうと考えています。

『つばさハウス』は2008年12月に民家をリフォームし国府台病院時代から診ていたALS患者様含め、8名の難病患者様に入居者いただきました。2010年4月には10戸の適合高齢者住宅を市川市曽谷に新築し、現在は住宅型有料老人ホームとして登録、2012年4月には市川市本北方に、29戸のサービス付き高齢者向け住宅『つばさ弐番館』をOPEN致しました。

患者さんは病院・施設の規則に縛られずに、自分の生活を生きる。
ご家族は介護だけに縛られずに、患者さんと共にご自分の人生を生きる。
難病マンション「つばさハウス」の設立が、そんな希望を実現する一助になればと願っています。


2014年3月 吉野内科・神経内科医院院長 吉野英